漂泊の画家　不染鉄〜理想郷を求めて

東京・小石川の光円寺生まれの不染鉄（ふせん・てつ、1891〜1976）は、日本美術院や京都市立絵画専門学校（現・京都市立芸術大学）で日本画を学び、在学中から帝展初入選を果たすなど活躍。戦後は奈良で、奈良・正強高校（現・奈良大学附属高等学校）の校長を勤め、画壇とは距離を置きながら、理想郷を求めて描く独自の画境を築いた。奈良県立美術館では「純情の画家　不染鉄展」（1996年）、「幻の画家　不染鉄」（2017年）と2度にわたり回顧展を開催してきたが、開館50周年を記念する今展では、初期から晩年までの代表作約120点を展示し、不染作品の魅力を改めて顕彰する。