若林奮 森のはずれ

小平市 武蔵野美術大学 美術館・図書館 TEL.042-342-6003

開催期間:2023年6月1日(木)~8月13日(日)

鉄を主な素材とし、自身と周縁世界との関わりをめぐる思索を内包した作品により、戦後日本の彫刻を牽引した若林奮(わかばやし・いさむ、1936〜2003)。1980年代にヴェネチア・ビエンナーレ日本館に2度出品し、海外でも個展を重ねるなど、国内外より高い評価を得た。1975年武蔵野美術大学共通彫塑研究室助教授に就任し、80年教授、84年退任。在任時の1981年、学内にある工房内に鉄板をたて、自分自身のために10畳ほどの空間を作り、この通称「鉄の部屋」の周囲を鉛で覆い、周辺に植物や大気を表す鉛の板やキューブを配置して《所有・雰囲気・振動—森のはずれ》(1981〜84年)として発表した。若林が彫刻観を拡張させるきっかけとなったこの重要な作品を、約30年ぶりに展示。おなじく自然の精緻な観察をとおして生まれた《Daisy Ⅰ》全10点、1970年代以降通底する概念となる《振動尺》Ⅰ〜Ⅳ(1979年)、80年代終わりから若林にとって重要な素材の一つとなる硫黄を用いた《The First White Core》Ⅰ〜Ⅲ(1992年)などのほか、若林の夥しい思索の一端が見えるドローイングや小品、資料約100点を展示する。