杉戸洋展：えりとへり / flyleaf and liner

1990年代の活動初期から国内外での作品発表を続けてきた画家・杉戸洋（すぎと・ひろし、1970〜）の個展。今展で、杉戸は「余白」に目を向ける。たとえば絵画の裏側でカンヴァスを囲む「えり」や「へり」として貼られた紙や木片のように、すぐには気が付かない場所にある「余白」は、本の表紙をめくると現れる「あそび紙（flyleaf）」や、洋服の「裏地（liner）」などあらゆる場所に潜んでいる。杉戸はそれらの前で立ち止まり、心を傾けることから制作をはじめる。また、コラボレーターとしてれんが倉庫美術館のビジュアル・アイデンティティっを手がけたグラフィックデザイナーの服部一成（はっとり・かずなり、1964〜）を迎え、煉瓦造りの建築と杉戸の作品が共鳴し「えりとへり / flyleaf and liner」のコンセプトが際だつ空間を楽しめる。