Damascene 布目象嵌の東西

京都市 清水三年坂美術館 TEL.075-532-4270

開催期間:2024年12月11日(水)~2025年3月2日(日)

布目象嵌とは、鉄などの硬い金属の表面にさまざまな方向から刻みを入れて荒らし、その上に金や銀などの薄い板を食い込ませる技法。シリアのダマスカスにおいて紀元前から作られていた金銀象嵌細工が起源とされ、その技法はのちに「Damascene(ダマシン)」と称された。その技法がシルクロードを通って日本に伝わり、桃山時代以降、武具や装飾品などに盛んに用いられるようになった。武士という身分が廃止された明治時代に入って困窮していた職人の中で、京都で刀剣商をしていた初代駒井音次郎は、1873(明治6)年に輸出向けの製品を作ることを志し、その製品は明治後半に海外で人気を博すようになり、「Komai Work」と呼ばれ、のちに「Damascene Work」と称された。一方、江戸では、慶応年間(1865〜68)に装剣金工職であった鹿島家が、鉄地ではなく四分一や赤銅地に布目象嵌を施す技法を発明し、独自の作風で国内外の博覧会・展覧会で活躍した。今展では、京都の駒井音次郎と東京の鹿島一谷という同時代に布目象嵌に携わった人物を取り上げて作品を展示するほか、江戸から昭和初期にかけて作られた布目象嵌の優品を展示する。