田原桂一「Les Sens」

田原桂一（1951〜2017）は、1971年に渡仏してヨーロッパの刺すような鋭い光に衝撃を受け、写真家として活動を始める。以降、2006年までパリを拠点とし、「光」をテーマに、写真はもとより、彫刻、インスタレーション、彫刻など幅広いジャンルで活躍し、木村伊兵衛写真賞、フランス芸術文化勲章シュヴァリエ、パリ市芸術大賞など数多くの受賞を重ねてきたが、今展の会期直前に急逝した。「Les Sens」は、2015年にフランス・リヨンで発表され、話題を集めた“手”をモチーフにした写真作品「Les mains」シリーズを日本で初めて展示するもの。床一面に黒い砂を敷き詰め、その上にレーザーを用いてプリズムの光を演出しており、時々刻々と変化する空間の中に写真作品がその存在を際立たせている。