没後50年 矢代幸雄と大和文華館—芸術を愛する喜び—

奈良市 大和文華館 TEL.0742-45-0544

開催期間:2025年4月12日(金)~5月25日(日)

大和文華館の初代館長を務めた矢代幸雄(やしろ・ゆきお、1890〜1975)は、イギリス・イタリアに留学してサンドロ・ボッティチェリ研究の大著を著した美術史家であり、帰国後は日本での東洋美術研究に力を注ぎ、美術研究所(現・東京文化財研究所)の創立に関わり、その初代所長を務めたほか、日本美術を海外に紹介する展覧会事業に携わった。戦後、近畿日本鉄道の文化事業として美術館の構想と設立に奔走し、大和文華館は1960年に開館した。矢代が蒐集した美術作品は、現在までコレクションの中核となっている。矢代が東洋美術に造型を深めた背景には、美術品蒐集家で芸術家のパトロンでもあった原富太郎(号:三溪(さんけい)、1868〜1939)との交流が大きく影響し、また、欧州への留学により国際的な視野から日本美術を強く意識したことが挙げられる。矢代は、奈良や京都だけでなく中国へも幾度も訪れ、芸術作品を生みだした文化を肌で感じようと努めた。今展では、矢代が蒐集した初期のコレクションとともに、原三渓旧蔵品など関連する諸作品を展示し、矢代が美術へ注いだまなざしから、東洋美術研究の足跡と視点をたどる。国宝《寝覚物語絵巻》(平安時代)、同《婦女遊楽図屏風(松浦屏風)》(江戸時代)、同・李迪筆《雪中帰牧図》(中国・南宋時代)など、国宝4件、重要文化財29件を含む約90件。前後期で展示替えあり。