目黒区 目黒区美術館 TEL.03-3714-1201
開催期間:2025年2月15日(土)~3月23日(日)

目黒区美術館では、1992年から画材や色材をテーマにした展覧会「色の博物誌」展とともにワークショップ「古典技法への旅」を開催してきたが、今展では“中世の華”とも表すべき黄金背景による「テンペラ画(卵黄テンペラ)」の技法を取り上げる。金箔を背景に、顔料を卵黄で練って描き上げていくこの技法は、主にイタリアで14世紀から15世紀前半に発展した。この魅力的な技法を今に伝える画家・石原靖夫(1943〜)は、1970年にイタリアに渡り、国立中央修復研究所に在席して黄金テンペラの技法を研究。6年をかけてゴシック期シエナ派の画家シモーネ・マルティーニの代表作《受胎告知》(1333年、ウフィツィ美術館蔵)の復元模写を完成させた。石原が、自身の制作やワークショップ、絵画指導の場などで教本として大切にしてきたのは、14世紀の画家チェンニーノ・チェンニーニの『絵画術の書』(訳:辻茂、岩波書店、初版1991年/岩波文庫、2025年)。今展では、石原が1970年代に制作した復元模写と、復元研究や制作時に使用した写真やトレース、研究ノートなどの資料を展示し、石原の「古典技法への旅」を紹介。さらに、その後の研究をもとに、今回新たに制作した「制作工程」とその手順を収録した動画を展示する。
遥かなるイタリア 河村清雄と寺﨑武男 2025年4月19日(土)〜6月8日(日)