岐阜市 岐阜県美術館 TEL.058-271-1313
開催期間:2025年1月24日(金)~3月9日(日)
江戸時代に美濃国(現在の岐阜県の一部)に生まれ、修行僧として全国を行脚しながら約12万体もの神仏像を彫り続けたといわれる円空(1632〜65)。岐阜県では、円空の独創性や慈愛の精神を県の個性と捉え、1999年度より土着の伝統に根ざしながら独創的な芸術を創造している芸術家を「円空大賞」として顕彰している。第12回円空大賞では、写真や映像、インスタレーションなどにより東南アジアの歴史を題材とした作品を多く手がけ、社会にメッセージを送り続けるマレーシアのYEE I-lann(イー・イラン、1971〜)が円空大賞に、土地の風土や住む人々の営みや歴史など、その場でしか生み出せない形を繊細な絹糸で織り出す池内晶子(いけうち・あきこ、1967〜)、自然や動物などをモチーフにした作品を通して、鑑賞者の奥深くにある言葉にできない感情や郷愁の記憶を刺激する鴻池朋子(こうのいけ・ともこ、1960〜)、紛争地域や被災地に自ら足を運び、建築家にしかできない問題解決の方法を模索し続ける坂茂(ばん・しげる、1957〜)、美濃国で受け継がれてきた伝統技法に現代性を折り込み、丸みのある柔らかな形、素朴で温かな色合いで独自の造型を追求し続ける吉田喜彦(よしだ・よしひこ、1936〜)が円空賞に選ばれた。郡上市美並町の人々が300年以上守り続けてきた円空仏8軀と受賞者5名の作品が響きあう会場構成を試みる。