生誕200周年記念 森川杜園展

奈良市 奈良県立美術館 TEL.0742-23-3968

開催期間:2021年9月23日(木・祝)~11月14日(日)

森川杜園(もりかわ・とえん、1820〜94)は、幕末から明治にかけて、奈良人形(一刀彫)の制作を軸に活躍した奈良市生まれの彫工。奈良人形は春日大社の摂社・春日若宮の祭礼で用いられる花笠や島台の装飾に淵源を持つと伝わる奈良の伝統工芸で、面と稜線を活かした簡素な木彫りの人形で、杜園は、卓抜した技術と豊かな表現力、極彩色を特徴とする華麗な作風で、これを芸術の域にまで高めた。幕末には、独特の鹿彫や、能や狂言を題材とする奈良人形を制作する一方、政府の古器旧物(文化財)保護活動や、奈良博覧会社の事業に携わり、正倉院宝物や県下の名宝の模写・模造に取り組み、こうした作品は、シカゴ万国博覧会をはじめとする国内外の博覧会で受賞を重ね、日本の彫刻史に確かな足跡を残した。日本近代彫刻の先駆けとして近年見直されつつある杜園芸術の全貌を、国立博物館などが所蔵する代表作約200点により紹介する。