麻生三郎展三軒茶屋の頃、そしてベン・シャーン

洋画家・麻生三郎（1913〜2000）は、戦争末期の空襲で豊島区長崎のアトリエを失い、1948年、世田谷区三軒茶屋にアトリエを構え、《ひとり》(1951年）や1950年代半ばに繰り返し描いた《赤い空》の連作など、戦後復興期の代表作を生み出した。生誕110年を記念する今展では、制作環境の悪化から、1972年に川崎市多摩区生田へと転居するまでの25年間に焦点を当て、描いた油彩、素描あわせて約110点を展示。さらに、野間宏、椎名麟三など文学者たちとの交流を示す挿絵や装丁の仕事も紹介。またこの時期に麻生が強く惹かれ、自ら作品を収集したアメリカの社会派の画家ベン・シャーン（1898〜1972）の麻生旧蔵の作品群も展示する。