菅亮平 Based on a True Story

東松山市 原爆の図丸木美術館 TEL.0493-22-3266

開催期間:2024年7月20日(土)~10月14日(月・祝)

「空虚(Void)」をめぐる思考をもとに、多様なメディアを横断的に扱いながら作品制作とアートプロジェクトに取り組み、国内外で発表を続けている菅亮平(かん・りょうへい、1983〜)が、広島平和記念資料館で1991年から2017年まで展示されていた被爆再現人形を題材としたリサーチ・プロジェクトを発表する。被爆再現人形とは、原子爆弾が投下された直後の灰燼に帰した広島の一角を再現したジオラマ内の成人女性と女子学生、男子を模したプラスチック製の等身大の人形三体のこと。2010年にジオラマと人形の撤去の方針が示され、賛否両論の議論に発展したが、最終的に、被爆の実相を実物資料で表現する方針によって、人形展示は2017年に一掃された。一連の経緯に関心を持った菅は、文化財保存・修復の専門家に協力を仰ぎ、保管されていた人形の表面・内部・構造・組成等の成り立ちを明らかにすることを試みる。さらに、被爆した人々の姿をほぼ等身大に描いた丸木位里・俊による絵画《原爆の図》との対照関係に着目し、歴史継承の方法について、「ドキュメント」と「フィクション」はどのような関係性にあるのか、再考を促す契機を企図している。