生誕110周年記念 阿部合成展修羅をこえて〜「愛」の画家

青森市生まれの画家・阿部合成（1910〜1972）は、京都市立絵画専門学校で日本画を学び、一度帰郷した後、油彩に転じ、1936年に上京して画家としての活動を始める。出征する兵士を見送る人々の熱狂と悲嘆を描いた《見送る人々》（1938年、兵庫県立美術館蔵）は二科会に初入選、特選となり注目を集め、新制作展にも《百姓の昼寝》（1938年、東京国立近代美術館蔵）が入選。しかし反戦画家とみなされるようになり、あらゆる公募展と絶縁した。1943年出征し、シベリア抑留を経て1947年帰国。1959〜60年、メキシコに滞在し、メキシコ国立近代美術館での個展で成功を収め、1964年にもメキシコ国立近代美術館で個展を開いた。青森県立美術館が所蔵する約140点を中心に国内美術館の所蔵する作品を加え、初期からメキシコ時代、晩年にいたる油彩作品約200点を展示し、画家の全貌を紹介する過去最大の回顧展。