源流へのまなざしモティーフで見る川端龍子

大田区 大田区立龍子記念館 TEL.03-3772-0680

開催期間:2025年12月6日(土)~2026年3月8日(日)

洋画家から出発し、挿絵画家の時代を経て、独学で日本画の世界を開拓し続けた川端龍子(1885〜1966)が、古くから脈々と描かれてきた「古典的モティーフ」をどのように描いているのか、そして「現実にあるモデル」では、実在する対象をどのように表現しているのかについて着目した展覧会。たとえば、出品作品の《やすらい》(1958年)は、龍子が高野山の快慶《孔雀明王》(鎌倉時代、重要文化財)を見て、平安時代から騎乗の姿で表されてきた「孔雀明王」を休息する様子として描き、それまでの仏画にはない龍子独自の創造が表されている。また、《虎の間》(1947年)では、京都・南禅寺の狩野探幽《群虎図》(寛永年間、重要文化財)のうち「水呑の虎図」を絵の中に引用し、その襖の手前に龍子自身を描いている。画中の虎は、龍子に睨みをきかせ警戒しているように描かれ、その構図は、虎と対峙する自らを「龍」とする、伝統的な「龍虎図」の構成を取り入れている。