怪力の魅力

生涯で何度も名前を変えた北斎（1760〜1849）が「葛飾北斎」の名前を用い始めた40代後半、主に活躍していたのが読本挿絵の分野で、力持ちたちの驚くべき怪力を、挿絵の中で迫力満点に描きだした。また70代後半の北斎は、『和漢絵本魁』やその続編『絵本武蔵鐙』など武者絵の絵手本を出版するが、その中で迫力ある人物の描き方について自身の画法を説明している。今展では、版本作品を中心に北斎の怪力の表現に注目する。