幻の愛知県博物館

名古屋市 愛知県美術館 TEL.052-971-5511

開催期間:2023年6月30日(金)~8月27日(日)

現在の愛知県には県立の総合博物館がないが、明治時代に遡ると「愛知県博物館」は確かに存在していた。1878(明治11)年に県が民間からの寄附金を集めて名古屋・総見寺の境内に建てた博物館は、古く貴重な文物から味噌や醤油、酒、木材、織物、陶磁器、絵画、機械、動植物等々、国内外のあらゆる物産を集め、人々の知識を増やして技術の発展を促そうとした。5年後には「愛知県博物館」と改称。博物館をどういう施設にすべきか方向の定まらない時代に、同館は先進的な商品見本を展示・販売して県下の産業を刺激する商品陳列館へと、徐々に姿を変えていく。日本各地に博物館や美術館が建設されるなかで、いつの間にか忘れられてしまった、殖産興業に比重を置く総合的な産業技術博物館としての「愛知県博物館」について考察する。