ヒルマ・アフ・クリント展

千代田区 東京国立近代美術館 TEL.050-5541-8600(ハローダイヤル)

開催期間:2025年3月4日(火)~6月15日(日)

スウェーデン生まれのヒルマ・アフ・クリント(1862〜1944)は、王立芸術アカデミーで正統的な美術教育を受け、優れた成績で卒業の後は主に肖像画や風景画を手がける職業画家としてキャリアをスタート。しかし、在学中からスピリチュアリズム(心霊主義)に関心を抱いていたアフ・クリントは、1896〜1908年頃まで親しい女性4人と「5人(De Ferm)」というグループを結成し、交霊術におけるトランス状態において受け取ったメッセージを自動書記や自動描画によって記録するようになり、自然描写にもとづくアカデミックな表現から離れていく。この間の1904年に、高次の霊的存在より神智学的教えについての絵を描くようにと告げられ、「神殿のための絵画」全193点(1906〜15年)の制作を開始した。1920年代以降は、神智学から分離独立した「人智学」への傾倒を深め、水彩のにじみによる偶然性を活かした作品へと表現を変化。晩年は自身の思想や表現についての過去のノートの編集や改訂、「神殿のための絵画」を収めるための建築物の構想なども行い、1,000点をはるかに超える作品やノート類などを甥に託して、81歳の生涯を閉じた。1980年代以降、ようやくいくつかの展覧会で紹介が始まり、2013年にストックホルム近代美術館からスタートしたヨーロッパ巡回の回顧展でその全貌が明らかになり、2018年にニューヨーク・グッゲンハイム美術館で開催された回顧展で世界的な注目を集め、以降、世界各地で大規模な展覧会が開催されている。アジア初の展覧会となる今展では、高さ3m超・10点組の絵画〈10の最大物〉(1907年)をはじめ、すべて初来日となる作品約140点やノートやスケッチなどの資料が出品され、その画業の全貌を紹介する。