歌麿大作「深川の雪」と「吉原の花」—138年ぶりの夢の再会—

岡田美術館が所蔵する喜多川歌麿（?〜1806）による大画面の肉筆画《深川の雪》は、《品川の月》（フリーア美術館蔵、アメリカ・ワシントンD.C.）、《吉原の花》（ワズワース・アセーニアム美術館蔵、アメリカ・コネチカット州ハートフォード）とともに「雪月花」三部作として、栃木の豪商・善野（ぜんの）家の注文で制作され、1879年11月23日、栃木県の定願寺での展観に揃って出品されたという記録が残っている。三部作はその後、美術商の手によりパリへ渡ったが、《深川の雪》だけが戦前に日本に持ち帰られ、1952年に銀座松坂屋で展示して以来、長年行方不明だったものが2012年に再発見され、岡田美術館に収蔵された。《吉原の花》をアメリカから迎え、《品川の月》（原寸大の高精細複製画）とともに展示する。